Wing2722 防衛投資が防衛力強化と技術水準向上に役立つ



■軍事革命をもたらす人工知能兵器
(古是三春「世界はすでにai戦争の時代」、「正論」H28.10)

・人工知能搭載の安価で小型の無人戦闘機は、かつての日本の特攻機の無人化版。大編隊で敵艦隊を襲えば、従来の防空システムを一挙に陳腐化する。米軍の実験では、人工知能は空軍ベテランパイロットとフライトシミュレータ上での対抗試合をして、すべてのケースで勝利を収めた。

・広い領海を持ちながら、それをカバーする人員と艦船が不足気味のわが国にとって、人工知能搭載の無人艦船が画期的な装備となる。軍事要員の数を減らし、養成・維持コストを低減でき、人員の危険も極少化できる。少子高齢化の進む先進国向き。中国に対して人口が少ない、賃金が高いと言う日本のハンディをカバーし、かつ量産技術に優れた日本の長所を最大限に発揮できる。

■自前の技術開発が重要
(石原慎太郎、織田邦男「国防の礎に目を向けぬ者たちへ」、「正論」H28.7)

・(石原)アメリカの航空機産業は日本の技術による最先端部品なくしてはなりたくない。炭素繊維も米軍のF22戦闘機のレーダーに映らない外面の特殊塗装も日本の技術によるもの。高度な軍用機や旅客機のコックピット内はほとんど日本製だといっていい。その強みを材料にした交渉をこの国の政治家も役人もしようとはしない。

・(織田)国産開発や共同開発はライセンス生産などと違って、自由に改良できるメリットがある。F2は最初はちんけだなと思ったが、アメリカの許可なく自前で改修し、どんどん性能アップできた。ロールアウトして25年以上たって、いまやたいした高性能機に仕上がった。

・(織田)三菱重工業が製造した「心身」と言うステルス実験機が初飛行に成功。約400億円を投じ、平成22年から試作を始め、国内の200社以上の協力を得て9割超の部品が国産。航空機の開発は伊勢神宮の式年遷宮と同じで、技術継承のためにも必要。

画像


・(石原)三菱重工の社長、会長を務めた飯田庸太郎氏(故人)は、「防衛産業で日本のお役に立てなければ、三菱が存在する意味がない。儲かるからやる、儲からないからやらないではなく、持って生まれた宿命と思っている」と語ったと伝えられている。まさに戦後は三菱やIHI、川崎重工、富士重工などの民間企業が防衛産業を維持してきた。

■軍事産業に資金を投入し、防衛確保と技術レベルの引き上げを
(本村久夫、用田和仁、矢野一樹「中国に尖閣を奪われない方法・・・南西諸島はこう守れ」、「正論」H28.10)

・(用田)中国の軍人ははっきり「第一列島線(日本-台湾-フィリピン)は中国にとって障壁だ」と言っている。中国は沿岸部が繁栄しており、経済的にも軍事的にも核心的な地域だが、第一列島線が敵の手にあると、沿岸地域は安全ではない。だから彼らはどうしても第一列島線を手に入れたい。

・(矢野)第一列島線を通らないようにするためには潜水艦による通峡阻止と機雷の敷設。

・(用田)南西諸島に対艦・防空ミサイルを置き、さらに日本はアスロックという対潜水艦ミサイルも持っている。潜水艦や機雷と合わせてがっちりとした壁を作る。米国もこのアイデアに賛成し、台湾やフィリピンに対しても同じような態勢を作ったら、という提言をし始めている。

・(用田)米国は大量に飛んでくるミサイルを払いのけるためにレーザー、マイクロウェーブ、レールガンに切り替えようとしている。日本はこれらに関して相当な技術を持っている。

・(矢野)日本がかつて高度経済成長をなし得たのは、先の大戦中に培った軍事技術が米国の大量生産方式と組み合わされて一気に花開いたから。軍事産業に資金を投入するのは決して「死に金」ではなく、一刻の技術レベルを控えることのできる、実に有効な投資。

この記事へのトラックバック