No.1292 朝日新聞の落日


「詐話師ならぬ詐話紙」(『週刊 新潮』)の販売部数激減が示すこと。

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■1.朝日新聞、ダントツの部数減少

 朝日新聞の発行部数が、本年9月度データで399万部と、400万部の大台を割り込んだ、というニュースが流れました。わずか1年で62万部、13.6%もの減少です。ネット化の流れで各紙とも部数を減らしていますが、減少幅第2位の読売新聞37万部減(5.2%減)を部数、率とも断然引き離しています。

 おりしも出版された花田紀凱(かずよし)氏の『安倍晋三総理が戦った 朝日と文春』[花田]で紹介されている朝日新聞の内部事情を知ると、ダントツの部数減少も当然だな、と思えました。

 花田氏はかつて『週刊文春』の編集長として、同誌を週刊誌売上トップへと育て上げた実績を持ち、また産経新聞紙上で毎週連載している「花田紀凱の週刊誌ウオッチング」は切れ味のよいコラムで、私も愛読しています。


■2.〈疑惑あった人が国葬そんな国〉

 この本の冒頭で、花田氏は朝日新聞が安倍元総理の国葬に関して掲載した「朝日川柳」欄に怒りをぶつけています。少し長いですが、朝日の体質がよく現れていますので、引用します。

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 朝日新聞はどこまで安倍総理を貶めれば気が済むのか。
 7月16日、朝日新聞「朝日川柳」欄。
 書き写していても怒りに震える。
 選ばれたのは七句。

〈疑惑あった人が国葬そんな国〉
〈利用され迷惑してる「民主主義」〉
〈死してなお税金使う野辺送り〉
〈国葬って国がお仕舞いっていうことか〉
〈動機聞きゃテロじゃ無かったらしいです〉
〈ああ怖いこうして歴史は作られる〉

 そして☆印の優秀賞は、
〈忖度はどこまで続く あの世まで〉

 掲載された七句全部が安倍総理の死、国葬をおちゃらかしている。
 そこには一国の総理、それも銃撃されて亡くなった総理に対する、一片の同情もないし、哀悼の気持ちも感じられない。ただただ安倍総理とその死を貶めているだけで、ユーモアやセンスのカケラも感じられない。[花田、p5]
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 ちなみに選者の「西木空人」の本名は栗田亘・元論説委員で、その著書には『リーダーの礼節』という本まであるといいます。

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こんな時に、こんな川柳ばかり選んで掲載する人物が「礼節」とはちゃんちゃらおかしい。
 自らの著書でも読み返して、もう少し「礼節」を学んだらどうか。[花田、p7]
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 こうした「歯に衣着せぬ鋭い舌鋒」が花田氏の持ち味です。


■3.朝日幹部の目から世間を見れば

 安倍元総理は通算在任日数3188日と歴代最長の記録を持っています。その間、何度も国政選挙を勝ち抜き、国民の支持を得てきました。それに対して、朝日新聞の部数激減ぶりを比較してみれば、世論がどちらを支持していたのかは、一目瞭然です。

 花田氏の今回の本を読むと、どうも朝日の幹部は、社外の現実を全く見ていないようなのです。たとえば、朝日が従軍慰安婦の「誤報」を認めた2014年秋、『週刊文春』が木村伊量・朝日新聞社長の社内向けメールをすっぱ抜いたスクープを紹介しています。

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 〈多くの方から「今回の記事は朝日新聞への信頼をさらに高めた」「理不尽な圧力に絶対に負けるな。とことん応援します」といった激励をいただいています〉
〈「慰安婦問題を世界に広げた諸悪の根源は朝日新聞」といった誤った情報をまき散らし、反朝日キャンペーンを繰り広げる勢力には断じて屈するわけにはいきません〉〈私の決意はみじんも揺らぎません。絶対にぶれません〉[花田、p96]
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「全くの「裸の王様」状態。大丈夫か?木村社長」と花田氏は突っ込みを入れています。

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「裸の王様」は社長だけではありません。真田正明論説委員が朝日社内のポータルサイトに、こんな「講評」をアップしたと、今度は『週刊新潮』が暴露しました。

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 朝日新聞の慰安婦報道の検証を受けて、産経新聞のヒステリックな反応はある程度予想がついたが、驚いたのは読売新聞である。(中略)この両紙は朝日新聞が慰安婦問題をつくったかのような批判や攻撃を続けている〉
〈秘密保護法、集団的自衛権、エネルギー政策、あらゆる場面で読売は安倍政権の露払い役を果たしてきた〉
〈読売を露払いとすれば産経は太刀持ちか。後ろから「もっと前へ。もっと勇ましく」と叫んでいる〉[花田、p101]
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 この記事に関して、花田氏は「『新潮』指摘のとおり、朝日はたしかに何の反省もしていない」とのコメントをつけています。

「『慰安婦問題を世界に広げた諸悪の根源は朝日新聞』といった誤った情報」とか、「朝日新聞が慰安婦問題をつくったかのような批判や攻撃」という驚くべき発言をしていますが、弊誌でも何度も紹介してきた通り、「慰安婦問題をつくり、世界に広げた」のは朝日です。[JOG(890)]

 そして、これだけ社会全体が朝日の誤報を非難し、自身の部数も2014年743万部から15年678万部と、65万部(8.7%)も大きく減らしながら、それは「誤った情報」「批判や攻撃」というのですから、社外の批判はまったく見えていないのです。


■4.朝日の若い記者たちは?

 花田氏は、朝日新聞の若い記者たちはどう思っているのか、と不思議に思い、朝日の現役記者、OB120人に慰安婦問題に関するアンケートの手紙を送りましたが、2通しか返ってこなかったそうです。「半ば予想はしていたが朝日では自分の意見さえ言えないのかと、あきれた」と記しています。

 そこで朝日が力を入れているツイッターの「記者アカウント」をチェックしてみたところ、大半の記者が慰安婦問題に関しては、一切触れていませんでした。「自社が関係した重大問題をパスするならツイッターなどやめたらどうだ」と、また厳しい突っ込みです。

 ただ、唯一、真面目にこの問題に触れていたのか金成(かなり)隆一記者(国際報道部)で、こう発言していました。

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〈朝日新聞が自らの慰安婦報道を検証しました。各方面からのバッシングが90年代からあったのだから、もっと早くやればよかったのにと感じます〉[花田、p115]
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 こういう記者が一人しかいなかった、という所に、朝日社内の悲惨な状況が窺えます。花田氏はこう糾弾します。

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 少なくともジャーナリストを志そうとする人間だったら、吉田清治氏の証言が、おかしいことぐらいとっくに気づいているはずだろう。当初はわからなかったとしても、産経新聞や『正論』『WiLL』(花田紀凱責任編集)が繰り返し疑問を呈してきたのだから。
 なのに、なぜ社内で、あるいは社外で、疑問の声を上げないのか。こんなデタラメを報じ続けた編集幹部を糾弾しないのか。
 出世に差しつかえると思って黙っているなどとは考えたくないが、もしそうだとしたら、それだけでジャーナリストの資格はあるまい。新聞記者を名乗るのはおこがましい。[花田、p113]
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■5.戦後の朝日新聞の主張はことごとく誤りだった

 誤報だけでなく、政治的主張についても、朝日新聞は過ちを続けた、と花田氏は「あとがき」で総括しています。

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 戦後、国を二分するような問題で朝日新聞が主張してきたことは結果的にことごとく誤りだった(国を二分したと書いたが、朝日新聞が反対したから、二分した、二分したように見えたということもある)。

 (1)自衛隊の発足(当初警察予備隊、1950年)
 (2)単独講和か全面講和か(1951年。これは実に巧みなネーミングで、ソ連を入れるか否かで、決して単独講和ではない)
 (3)警職法(警察官職務執行法改正案、1958年)  警察官の職務質問などの権限を拡大するもので、この時、反対派のキャッチフレーズは「デートもできない警職法」だった。
 (4)安保改正賛成か反対か(1960年)

 そして安倍内閣になってからの
 (5)特定秘密保護法(2013年)
 (6)集団的自衛権の憲法解釈変更(2014年)
 (7)平和安全法制(安全保障関連法、2015年)

 以上、(1)から(7)、その時、その時に朝日は政府方針に反対の大キャンペーンを張って来た。
 しかし、現在となってみれば、そのことごとくが誤りだったことはハッキリしている。[花田、p247]
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 (1)から(4)までで、朝日の主張通りに進んでいれば、自衛隊も日米安保もなく、日本は中国の属国となっていたでしょう。


■6.「『恐怖』ばかりを拡大解釈して大げさに伝え」

 (5)の特定秘密保護法に関する朝日の報道ぶりを、花田氏はこう紹介しています。

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 朝日が1面白ヌキ大見出しで「秘密保護法が成立」。社会面を開くと見開きほとんど全面をつぶして、これも白ヌキ大見出し「反対あきらめぬ 戦中に戻すな」・・・
 第三次大戦でも起こったか、ぐらいの大騒ぎだ。1本の法律で、いきなり戦中に戻るはずもあるまい。・・・
 中身を読むと、・・・「国民同士監視 怖いんだ」「怒り 列島包む」(朝日)。
 で、紙面に紹介された〝国民の声〟は「国民が『見ざる、聞かざる、言わざる』となった太平洋戦争の前夜のようだ」「昼夜を問わず、国民から反対の声が上がっていたのに、信じられない」・・・
 こんな声はデモに参加したごく一部の声に過ぎないことは新聞記者なら先刻承知だろう。[花田、p37]
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 秘密保護法については、花田氏は、『ニューズウィーク日本版』長岡義博記者の「秘密保護法と妄想報道の罪」が、「『保護法』の問題点も指摘しつつ実に行き届いている」と、以下の数節を引用しています。

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〈「恐怖」ばかりを拡大解釈して大げさに伝え、本来すべき議論を喚起しなかったメディアの責任も重い〉〈国際社会の現実を考えれば、国民の知る権利などの基本的人権を損なわない形で、いかに安全保障体制を強化するかという議論は不可欠> [花田、p79]
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 そう言えば、朝日の主張で、「いかに安全保障体制を強化するか」という具体的提案がかつてあったでしょうか? 「中国や北朝鮮とよく対話を」という程度の提案しか、私は寡聞にして知りません。国内の安全保障体制強化に関しては「恐怖ばかりを拡大解釈して大げさに伝え」、現実の近隣諸国の軍事的脅威については無視する、それが朝日の報道姿勢でした。


■7.「この詐話師ならぬ詐話紙にご退場いただく」

 花田氏の挙げた7つの過ちは、1950年から2015年と、実に65年間に及びます。かくも長い間、間違い続けてきた新聞とは、いったい言論機関という名に値するのでしょうか。

 ある人が「朝日は戦後ずっと間違い続きで、今回の法案も朝日が反対しているから、正しい法案に違いない」というジョークを飛ばしていました。朝日の主張の反対を実行すれば、常に日本の国益に適う、という、ある意味では「頼れる新聞」なのです。

 冗談はともかく、報道機関とは、事実を調べて、国民に提示するのが役目です。しっかり事実を調べて、自社の主張が間違いだったと判明すれば、考えを改める。それが「反省」ということです。どうも朝日の辞書には「反省」という言葉はないようなのです。

 朝日に「反省」を求めるのは、北朝鮮に国連決議違反のミサイル発射を反省せよ、とか、中国にウイグル人権弾圧を反省せよ、というくらい、ムダなことのようです。

 事実を伝えず誤報を垂れ流しにする報道、常に国家を誤った方向に誘導しようとする言論。産業界で例えれば、食べた人の脳を冒す有害化合物を含んだ食品を売り続ける会社です。まともに機能している市場なら、こういう会社はすぐに駆逐されなければなりません。

 慰安婦誤報に関して、『週刊新潮』はこう指摘しました。

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<朝日が求める《隣国と未来志向の安定した関係を築く》(5日付朝刊1面)ための早道は、真実よりプロパガンダを優先し、都合が悪ければ頬かむりする、この詐話師ならぬ詐話紙にご退場いただくことだろう> [花田、p94]
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 しかし、こういう「詐欺紙」が65年間も欠陥商品を売り続けているのです。これほどのベテラン「詐欺紙」に「ご退場」いただけない、という事は、日本の報道・言論空間に重大な欠陥があることを示しています。

 反省すべきは、こういう「詐欺紙」が65年間もビジネスを続ける事を許している我々国民なのです。朝日の販売部数急減は、国民による「詐欺紙」駆逐としては遅すぎる反応と言うべきでしょう。
(文責 伊勢雅臣)

■おたより

■伊勢雅臣より

 ある読者から、新聞販売店員の話で、「立場的に購買部数を減らすことが出来ないのだけど、購読者の減少は激しくて、社から届く部数の半分近くを内々で廃棄してるんですよ」と聞いたことを教えていただきました。

 いわゆる「押し紙」で、実売部数以上に新聞社から部数を押しつけられて、新聞販売店がその差を負担しているというやり方です。朝日の「押し紙」部数はよく分かりませんが、一説には押し紙は100万部程度もあり、真の読者数は300万人程度とも言われています。

 まともな経営者なら、放置しておけない問題です。


■リンク■

・JOG(890) 朝日新聞の「従軍慰安婦」報道小史
「私たちはこれからも変わらない姿勢でこの問題を報じ続けていきます」という朝日新聞の「姿勢」とは?
http://jog-memo.seesaa.net/article/201503article_3.html


■参考■(お勧め度、★★★★:必読~★:専門家向け)
  →アドレスをクリックすると、本の紹介画面に飛びます。

・花田紀凱『安倍晋三総理が闘った 朝日と文春』★★★、産経新聞出版(Kindle版)、R04
http://www.amazon.co.jp/o/ASIN/B0BFH5NGLQ/japanontheg01-22/


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