No.1309 参政党の理念・綱領を日本の国柄から読み解く
■■ Japan On the Globe(1309)■■ 国際派日本人養成講座 ■■
Common Sense: 参政党の理念・綱領を日本の国柄から読み解く
参政党の理念・綱領は、わが国の国柄から読み説けば、その目指すところが明らかになる。
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■1.国民に「主人公」意識が必要
この次の土曜日、3月18日に神奈川県藤沢市での参政党神奈川西支部主催の講演会にてお話をさせていただくので、そのさわりをご紹介します。私は参政党の党員ではありませんが、外部の勝手な応援団員として、お話しさせていただきます。(ただし、私が応援しているのは、参政党だけではありませんが)
私が参政党を知ったのは、数年前、大阪で開催していた輪読会の二人のメンバーからでした。一人は大手企業から独立して、自ら事業を始めた志高き男性、もう一人はお子さんを何人も立派に育て上げた主婦の方でした。
二人は別々の経緯で参政党を知ったらしく、ある時、読書会の始まる前の雑談で、参政党の話題が出たときに、互いに参政党を応援していると知って、驚くとともに意気投合していました。
その時に、私も興味を持って、参政党のことを調べてみたのですが、共感したのは「同じ思いをもった普通の国民が集まり、知恵やお金を出し合い、自分たちが党運営を行っていきます」という点です。
私は留学や駐在で合計7年間、アメリカで生活し、この国から日本が学ぶべきは、国民の「主人公」意識だと感じていました。もともとイギリスの植民地で、住民は選挙権も与えられないまま課税されていたのですが、それはおかしいと声をあげました。当時のイギリスが耳を貸さなかったので、それならばと独立戦争を戦い、ついには自分たちの国を立ち上げたのです。
参政党はDIY(Do It Yourself)政党と自らを規定していますが、それに習えば、アメリカはDIY国家です。ですから、国の主人公は自分たち国民であり、自分たちの主張を実行してくれる政治家を選ぶのだ、という意識が非常に強いのです。
米国に比べると、わが国は建国以来、民の安寧を祈る、という皇室の理想を実現しようと努力した政治家が時々現れて、他国に比べれば、はるかに幸福な国が有史以来、実現されてきました。その結果、政治向きのことは「お上」に任せておけばいい、という「お客さん」意識が、他国に比べてはるかに強いと思います。
左翼でも、自分たちで革命政権を作ろうなどという「主人公」意識を持つ人は少なく、万年野党に投票して、不平不満をぶつけていれば良いという「お客さん」意識の人がほとんどでしょう。
ところが、アメリカの庇護も怪しくなり、経済も低迷し、近隣にならず者国家が好き勝手をし出す、という時代になっては、国民が「お客さん」意識では国が持ちません。こういう時世に「同じ思いをもった普通の国民が集まり、知恵やお金を出し合い、自分たちが党運営を行っていきます」というのは、時宜を得た方針だと感じました。
■2.参政党の理念・綱領は「ど真ん中の剛速球」
その後、縁あって神谷宗幣氏のYouTube番組「CGS」[伊勢]にも出演させていただき、氏の思想・主張には非常に共感できる点が多々ある、と感じていました。しかし、それと同時に、政党として多くの人々を束ねていくためには、それを綱領や政策にまとめていくところが、また難題だと思っていました。
これまた日本の弱点ですが、高邁な思想を語るだけの「評論家」は多くいますが、それを実現するための、具体的なシナリオやアクション・プランに展開していくという「改革者」は少ないのです。ですから、参政党が「改革者」として、どのような綱領や政策に集約していくか、という点に着目していました。
今回、参政党神奈川西支部からの講演のご依頼を受けて、現時点の参政党の綱領、政策を拝見し、かなり根本的核心的なものを打ち出している点に、まさに「ど真ん中の剛速球」を投げ込んできた印象を持ちました。ただ、あまりの剛速球に球筋がよく見えない、という方も少なくないのではないか、と外部から勝手に心配をした次第です。
そこで、今回の講演会では、私なら理念・綱領をこう捉える、という点をお話しして、それらが腹に落ちて、そこから活き活きとしたエネルギーを得られるようにしたいと思います。もとより、外部の勝手な応援団の声援ですから、参政党幹部の考えとはずれた処もあるかも知れませんが、そこはご容赦を。
■3.理念・綱領には意味深なキーワードが次々
まずは、参政党の理念・綱領を見て、その中身を理解するための発問をしておきましょう。[参政党]
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【理念】日本の国益を守り、世界に大調和を生む
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「日本の国益を守り」は日本の政党なら当然ですが、世界の「大調和」とは何なのか、国益を守ることが、どのように世界の「大調和」に繋がるのでしょうか?
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【綱領】一、先人の叡智を活かし、天皇を中心に一つにまとまる平和な国をつくる。
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「先人の叡知」とは何なのか? 「天皇を中心に一つにまとまる」とは、どういう事なのか? これは、なにやら右翼団体のようで警戒感を持つ人もいるでしょう。
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一、日本国の自立と繁栄を追求し、人類の発展に寄与する。
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「日本の自立と繁栄」が、どのように「人類の発展に寄与する」のでしょうか?
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一、日本の精神と伝統を活かし、調和社会のモデルをつくる。
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「日本の精神と伝統」とは具体的に何なのでしょうか? それを活かしてつくる「調和社会」とは、いったいどのようなものなのでしょうか?
こう考えると、意味深なキーワードが次々と繰り出されている事が分かります。このあたりが「ど真ん中の剛速球」なのです。
■4.「天皇を中心に」とは、「大御宝(おおみたから)を鎮むべし」
この理念・綱領を肚落ちできるよう理解するためには、わが国の成り立ちそのものを辿ることが早道だと思います。このあたりは、講演会でじっくりお話ししたいと思いますが、本稿では紙面の関係で、あらすじだけをご説明しましょう。
まず、第一項の「天皇を中心に」という表現が、戦後の左翼教育を真面目に受けてきた人々には、すぐには共感できないでしょう。自民党や維新の会の綱領でも、これほどストレートには出てきていません。
この点を私なりに読み説きますと、まず、日本国を建国された初代神武天皇は即位されたときに、「大御宝(おおみたから)を鎮むべし」と宣言されています。
「大御宝」とは『日本書紀』では漢字で「元元」と書いています。漢文では単なる「人々」という意味ですが、我が国では大和言葉で「おおみたから」と読ませたのです。したがって、わが国では民は「大御宝」と考えられていたのです。そして、その「大御宝」が「鎮むべし」、安心して暮らせるようにしよう、これが建国の目的であり、天皇の使命でした。
続いて神武天皇は「八紘(あめのした)を掩(おお)ひて宇(いえ)にせむこと、亦(また)良からずや」と述べられています。「大御宝」といっても、個人が物質的に安楽な生活をする福祉国家を目指したのではありません。「一つ屋根」の下で、祖父母、両親、兄姉から幼児まで、それぞれ処を得て、一家全体のために支え合う、それを「大御宝」の理想の姿とされたのです。

日本語の「国家」にはわざわざ「家」の字を添えられています。国とは家と同じようなものと見なした先人たちの国家観が、「国家」というたった一つの言葉からも窺えます。私の知る限り、外国語にはこういう表現はありません。
これがまさに「先人の叡智」であり、それを活かして「天皇を中心に一つにまとまる平和な国をつくる」とは、民が大御宝として安心して、活き活きと支え合って行ける国家を作ろうということなのです。
これは現行憲法冒頭の「第一条 天皇は、日本国の象徴であり、日本国民統合の象徴」という規定にも通じます。「国民統合」とは、国民が一つの家族のように、力を合わせて、国家を運営していこうという覚悟であり、それは初代神武天皇の示された「大御宝の一つ屋根」を実現しようという祈りに繋がるものだからです。
参政党綱領の「天皇を中心に一つにまとまる平和な国」とは、こういう国を目指していると私は解釈しました。
■5.「日本国の自立と繁栄」がどのように「人類の発展に寄与」するのか?
第2項に関しては「日本国の自立と繁栄」がどのように「人類の発展に寄与するのか」という疑問が湧いてきます。かつてのソ連や現在の中国のように、周辺諸国を属国として、自分だけ「自立と繁栄」を追求したのでは、「人類の発展に寄与」できません。
この点でも「先人の叡智」が重要な示唆を与えてくれます。前述の神武天皇の「大御宝の一つ屋根」という祈りを、明治天皇はさらに深化させて、『五カ条の御誓文』にまとめられ、その精神を国民への御宸翰(お手紙)の中でこう説明されています。
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天下億兆、一人も其処を得ざる時は、皆朕が罪なれば」
(国内のすべての人々が、たった一人でも、その人にふさわしくない場所に置かれているようであれば、それは皆私の罪なので)
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国民一人ひとりが、家族の一員として「その処を得る」という祈りは、国際社会にも拡大されます。世界の中では、大きな国、小さな国、資源に恵まれた国、乏しい国、科学技術の進んだ国、遅れた国など、いろいろな国があります。こういう多くの多様な国が、それぞれ処を得て、独立国として「鎮む」(安寧に暮らしていく)、そういう国際社会が理想とされているのです。
明治天皇は日露戦争開戦に際し、「よものうみみなはらからと思ふ世になど波風のたちさはぐらむ」(四方の海を同胞と思っている世になぜ波風が立ち騒ぐのだろうか)と、「同胞」と戦わなければならない苦しみを詠まれました。
明治時代は、多くのアジア・アフリカ諸民族が、欧米諸国の植民地とされていました。そして、世界の諸民族が「その処を得る」という祈りから、国際連盟における人種平等条項提案、さらには大東亜戦争時のアジア諸民族独立支援がなされました。それが昭和天皇が「米国及び英国に対する宣戦の詔書」の中で謳われた「万邦共栄」という祈りです。
「万邦共栄」を目指す「先人の叡智」に基づいて、「日本国の自立と繁栄」を図ってこそ、「人類の発展に寄与する」事に繋がるのです。逆に、現在の中国のように、周辺諸国や国内少数民族を支配して繁栄を求めるような勢力とは、戦っていかなければなりません。
■6.自然の中で生かされているという「日本の精神と伝統」が、地球環境の調和をもたらす
第3項の「日本の精神と伝統を活かし、調和社会のモデルをつくる」はどうでしょうか? 「日本の精神と伝統」とは何か? それがどのような「調和社会のモデル」づくりに繋がるのでしょうか?
「日本の精神と伝統」にも「調和社会」にも様々な次元があります。たとえば、昨今の地球環境危機を取り上げてみましょう。最近はやりのSDGsでは、持続可能性がキーワードになっています。
持続可能性の歴史上最大の成功事例が、縄文文明です。なにしろ、1万年以上も環境と調和を保って持続したのですから。これに比べると、他の古代文明は、チグリス・ユーフラテス、エジプト、インダス、黄河と、みな周辺を砂漠化してしまい、持続可能ではありませんでした。
なぜ縄文文明が1万年以上の持続可能だったのか、それは人間自身も自然の一部として、その中で生かされている、という自然信仰gあったからです。この自然信仰が、山も川もすべての動植物にも「神の分け命」が宿っている、という日本神話につながっています。
古代の諸民族は、みな同様の自然信仰を持っていましたが、それを保ったまま、近代文明を発展させたのは日本だけです。西洋諸国は、旧約聖書に記されているように、人間が自然を支配管理するよう神から委託されたと見なしており、それが近代西洋文明の自然破壊をもたらしたのです。
現代社会において地球環境と調和した持続可能性を目指すことが「調和社会」の一つのあり方ですが、それを実現するには自然信仰を保持したまま近代化を成し遂げた「日本の精神と伝統」が、重要な示唆を投げかけているのです。18日の講演では、その一つの事例として、食と農業のテーマを論じます。
■7.「大調和」の3つの柱
こうして見ると、理念に謳われた「大調和」の具体的な内容も窺うことができるでしょう。それは国内においては「大御宝の一つ屋根」、国際社会においては「万邦共栄」、そして自然に対しては「自然の大いなる命に生かされている」という「自然信仰」。これらが「大調和」の柱であると考えることができるでしょう。
そして、そのような「大調和」が世界に生まれれば、それは日本国民と日本の国全体への「国益」となります。国民の一致協力による国の繁栄、平和な国際社会、そして豊かな美しい自然の中での暮らし。参政党の理念・綱領からは、こういう崇高な理想が窺われるのです。より多くの国民が「主人公意識」を持って、この努力に参加していって貰いたいと思います。
18日の講演会では、ぜひ多くの方々と、こういうテーマについて、一緒に語り合ってみたいと考えています。ご参加をお待ちしています。
(文責 伊勢雅臣)
■おたより
■参政党の綱領は日本のいずれの政党も綱領にしておかしくない(卓さん)
参政党の綱領は日本のいずれの政治政党も綱領にしてもおかしくないものだと思います。参政党が綱領、信条、行動とも3拍子揃って活躍してくれることを期待しています。それだけでは他人任せになります。自らも、参政党を応援できるよう見守って参ります。
■伊勢雅臣より
参政党が刺激となって、他の各党も日本の国柄を根っことした綱領を考えるようになったら、素晴らしいですね。
読者からのご意見をお待ちします。本号の内容に関係なくとも結構です。本誌への返信、ise.masaomi@gmail.com へのメール、あるいは以下のブログのコメント欄に記入ください。
http://blog.jog-net.jp/
__________
■伊勢雅臣講演「神奈川から日本の希望のかたちを考える in 藤沢」
日時: 令和5年3月18日(土) 14:30~16:30(開場14:00)
場所: Fプレイス 藤沢市藤沢公民館 神奈川県藤沢市本町1丁目12-17
参加費:
一般の方/メルマガ会員/サポーター:2,000円
参政党党員(一般/運営)/18歳未満の方:1,500円
中学生以下:無料
チケット購入: https://isemasaomi.hp.peraichi.com/sansei
問い合わせ: 12sanseikana@gmail.com
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■リンク■
・JOG(1250) 大御宝による、大御宝のための国
日本は「大御宝のための国」として建国され、大御宝たちが力を合わせて護ってきた。
http://jog-memo.seesaa.net/article/202201article_3.html
■参考■(お勧め度、★★★★:必読~★:専門家向け)
→アドレスをクリックすると、本の紹介画面に飛びます。
・参政党「理念・規約」
https://www.sanseito.jp/philosophy/
■伊勢雅臣より
読者からのご意見をお待ちします。本号の内容に関係なくとも結構です。本誌への返信、ise.masaomi@gmail.com へのメール、あるいは以下のブログのコメント欄に記入ください。
http://blog.jog-net.jp/
Common Sense: 参政党の理念・綱領を日本の国柄から読み解く
参政党の理念・綱領は、わが国の国柄から読み説けば、その目指すところが明らかになる。
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無料購読申込・取消: http://blog.jog-net.jp/
■1.国民に「主人公」意識が必要
この次の土曜日、3月18日に神奈川県藤沢市での参政党神奈川西支部主催の講演会にてお話をさせていただくので、そのさわりをご紹介します。私は参政党の党員ではありませんが、外部の勝手な応援団員として、お話しさせていただきます。(ただし、私が応援しているのは、参政党だけではありませんが)
私が参政党を知ったのは、数年前、大阪で開催していた輪読会の二人のメンバーからでした。一人は大手企業から独立して、自ら事業を始めた志高き男性、もう一人はお子さんを何人も立派に育て上げた主婦の方でした。
二人は別々の経緯で参政党を知ったらしく、ある時、読書会の始まる前の雑談で、参政党の話題が出たときに、互いに参政党を応援していると知って、驚くとともに意気投合していました。
その時に、私も興味を持って、参政党のことを調べてみたのですが、共感したのは「同じ思いをもった普通の国民が集まり、知恵やお金を出し合い、自分たちが党運営を行っていきます」という点です。
私は留学や駐在で合計7年間、アメリカで生活し、この国から日本が学ぶべきは、国民の「主人公」意識だと感じていました。もともとイギリスの植民地で、住民は選挙権も与えられないまま課税されていたのですが、それはおかしいと声をあげました。当時のイギリスが耳を貸さなかったので、それならばと独立戦争を戦い、ついには自分たちの国を立ち上げたのです。
参政党はDIY(Do It Yourself)政党と自らを規定していますが、それに習えば、アメリカはDIY国家です。ですから、国の主人公は自分たち国民であり、自分たちの主張を実行してくれる政治家を選ぶのだ、という意識が非常に強いのです。
米国に比べると、わが国は建国以来、民の安寧を祈る、という皇室の理想を実現しようと努力した政治家が時々現れて、他国に比べれば、はるかに幸福な国が有史以来、実現されてきました。その結果、政治向きのことは「お上」に任せておけばいい、という「お客さん」意識が、他国に比べてはるかに強いと思います。
左翼でも、自分たちで革命政権を作ろうなどという「主人公」意識を持つ人は少なく、万年野党に投票して、不平不満をぶつけていれば良いという「お客さん」意識の人がほとんどでしょう。
ところが、アメリカの庇護も怪しくなり、経済も低迷し、近隣にならず者国家が好き勝手をし出す、という時代になっては、国民が「お客さん」意識では国が持ちません。こういう時世に「同じ思いをもった普通の国民が集まり、知恵やお金を出し合い、自分たちが党運営を行っていきます」というのは、時宜を得た方針だと感じました。
■2.参政党の理念・綱領は「ど真ん中の剛速球」
その後、縁あって神谷宗幣氏のYouTube番組「CGS」[伊勢]にも出演させていただき、氏の思想・主張には非常に共感できる点が多々ある、と感じていました。しかし、それと同時に、政党として多くの人々を束ねていくためには、それを綱領や政策にまとめていくところが、また難題だと思っていました。
これまた日本の弱点ですが、高邁な思想を語るだけの「評論家」は多くいますが、それを実現するための、具体的なシナリオやアクション・プランに展開していくという「改革者」は少ないのです。ですから、参政党が「改革者」として、どのような綱領や政策に集約していくか、という点に着目していました。
今回、参政党神奈川西支部からの講演のご依頼を受けて、現時点の参政党の綱領、政策を拝見し、かなり根本的核心的なものを打ち出している点に、まさに「ど真ん中の剛速球」を投げ込んできた印象を持ちました。ただ、あまりの剛速球に球筋がよく見えない、という方も少なくないのではないか、と外部から勝手に心配をした次第です。
そこで、今回の講演会では、私なら理念・綱領をこう捉える、という点をお話しして、それらが腹に落ちて、そこから活き活きとしたエネルギーを得られるようにしたいと思います。もとより、外部の勝手な応援団の声援ですから、参政党幹部の考えとはずれた処もあるかも知れませんが、そこはご容赦を。
■3.理念・綱領には意味深なキーワードが次々
まずは、参政党の理念・綱領を見て、その中身を理解するための発問をしておきましょう。[参政党]
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【理念】日本の国益を守り、世界に大調和を生む
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「日本の国益を守り」は日本の政党なら当然ですが、世界の「大調和」とは何なのか、国益を守ることが、どのように世界の「大調和」に繋がるのでしょうか?
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【綱領】一、先人の叡智を活かし、天皇を中心に一つにまとまる平和な国をつくる。
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「先人の叡知」とは何なのか? 「天皇を中心に一つにまとまる」とは、どういう事なのか? これは、なにやら右翼団体のようで警戒感を持つ人もいるでしょう。
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一、日本国の自立と繁栄を追求し、人類の発展に寄与する。
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「日本の自立と繁栄」が、どのように「人類の発展に寄与する」のでしょうか?
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一、日本の精神と伝統を活かし、調和社会のモデルをつくる。
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「日本の精神と伝統」とは具体的に何なのでしょうか? それを活かしてつくる「調和社会」とは、いったいどのようなものなのでしょうか?
こう考えると、意味深なキーワードが次々と繰り出されている事が分かります。このあたりが「ど真ん中の剛速球」なのです。
■4.「天皇を中心に」とは、「大御宝(おおみたから)を鎮むべし」
この理念・綱領を肚落ちできるよう理解するためには、わが国の成り立ちそのものを辿ることが早道だと思います。このあたりは、講演会でじっくりお話ししたいと思いますが、本稿では紙面の関係で、あらすじだけをご説明しましょう。
まず、第一項の「天皇を中心に」という表現が、戦後の左翼教育を真面目に受けてきた人々には、すぐには共感できないでしょう。自民党や維新の会の綱領でも、これほどストレートには出てきていません。
この点を私なりに読み説きますと、まず、日本国を建国された初代神武天皇は即位されたときに、「大御宝(おおみたから)を鎮むべし」と宣言されています。
「大御宝」とは『日本書紀』では漢字で「元元」と書いています。漢文では単なる「人々」という意味ですが、我が国では大和言葉で「おおみたから」と読ませたのです。したがって、わが国では民は「大御宝」と考えられていたのです。そして、その「大御宝」が「鎮むべし」、安心して暮らせるようにしよう、これが建国の目的であり、天皇の使命でした。
続いて神武天皇は「八紘(あめのした)を掩(おお)ひて宇(いえ)にせむこと、亦(また)良からずや」と述べられています。「大御宝」といっても、個人が物質的に安楽な生活をする福祉国家を目指したのではありません。「一つ屋根」の下で、祖父母、両親、兄姉から幼児まで、それぞれ処を得て、一家全体のために支え合う、それを「大御宝」の理想の姿とされたのです。

日本語の「国家」にはわざわざ「家」の字を添えられています。国とは家と同じようなものと見なした先人たちの国家観が、「国家」というたった一つの言葉からも窺えます。私の知る限り、外国語にはこういう表現はありません。
これがまさに「先人の叡智」であり、それを活かして「天皇を中心に一つにまとまる平和な国をつくる」とは、民が大御宝として安心して、活き活きと支え合って行ける国家を作ろうということなのです。
これは現行憲法冒頭の「第一条 天皇は、日本国の象徴であり、日本国民統合の象徴」という規定にも通じます。「国民統合」とは、国民が一つの家族のように、力を合わせて、国家を運営していこうという覚悟であり、それは初代神武天皇の示された「大御宝の一つ屋根」を実現しようという祈りに繋がるものだからです。
参政党綱領の「天皇を中心に一つにまとまる平和な国」とは、こういう国を目指していると私は解釈しました。
■5.「日本国の自立と繁栄」がどのように「人類の発展に寄与」するのか?
第2項に関しては「日本国の自立と繁栄」がどのように「人類の発展に寄与するのか」という疑問が湧いてきます。かつてのソ連や現在の中国のように、周辺諸国を属国として、自分だけ「自立と繁栄」を追求したのでは、「人類の発展に寄与」できません。
この点でも「先人の叡智」が重要な示唆を与えてくれます。前述の神武天皇の「大御宝の一つ屋根」という祈りを、明治天皇はさらに深化させて、『五カ条の御誓文』にまとめられ、その精神を国民への御宸翰(お手紙)の中でこう説明されています。
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天下億兆、一人も其処を得ざる時は、皆朕が罪なれば」
(国内のすべての人々が、たった一人でも、その人にふさわしくない場所に置かれているようであれば、それは皆私の罪なので)
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国民一人ひとりが、家族の一員として「その処を得る」という祈りは、国際社会にも拡大されます。世界の中では、大きな国、小さな国、資源に恵まれた国、乏しい国、科学技術の進んだ国、遅れた国など、いろいろな国があります。こういう多くの多様な国が、それぞれ処を得て、独立国として「鎮む」(安寧に暮らしていく)、そういう国際社会が理想とされているのです。
明治天皇は日露戦争開戦に際し、「よものうみみなはらからと思ふ世になど波風のたちさはぐらむ」(四方の海を同胞と思っている世になぜ波風が立ち騒ぐのだろうか)と、「同胞」と戦わなければならない苦しみを詠まれました。
明治時代は、多くのアジア・アフリカ諸民族が、欧米諸国の植民地とされていました。そして、世界の諸民族が「その処を得る」という祈りから、国際連盟における人種平等条項提案、さらには大東亜戦争時のアジア諸民族独立支援がなされました。それが昭和天皇が「米国及び英国に対する宣戦の詔書」の中で謳われた「万邦共栄」という祈りです。
「万邦共栄」を目指す「先人の叡智」に基づいて、「日本国の自立と繁栄」を図ってこそ、「人類の発展に寄与する」事に繋がるのです。逆に、現在の中国のように、周辺諸国や国内少数民族を支配して繁栄を求めるような勢力とは、戦っていかなければなりません。
■6.自然の中で生かされているという「日本の精神と伝統」が、地球環境の調和をもたらす
第3項の「日本の精神と伝統を活かし、調和社会のモデルをつくる」はどうでしょうか? 「日本の精神と伝統」とは何か? それがどのような「調和社会のモデル」づくりに繋がるのでしょうか?
「日本の精神と伝統」にも「調和社会」にも様々な次元があります。たとえば、昨今の地球環境危機を取り上げてみましょう。最近はやりのSDGsでは、持続可能性がキーワードになっています。
持続可能性の歴史上最大の成功事例が、縄文文明です。なにしろ、1万年以上も環境と調和を保って持続したのですから。これに比べると、他の古代文明は、チグリス・ユーフラテス、エジプト、インダス、黄河と、みな周辺を砂漠化してしまい、持続可能ではありませんでした。
なぜ縄文文明が1万年以上の持続可能だったのか、それは人間自身も自然の一部として、その中で生かされている、という自然信仰gあったからです。この自然信仰が、山も川もすべての動植物にも「神の分け命」が宿っている、という日本神話につながっています。
古代の諸民族は、みな同様の自然信仰を持っていましたが、それを保ったまま、近代文明を発展させたのは日本だけです。西洋諸国は、旧約聖書に記されているように、人間が自然を支配管理するよう神から委託されたと見なしており、それが近代西洋文明の自然破壊をもたらしたのです。
現代社会において地球環境と調和した持続可能性を目指すことが「調和社会」の一つのあり方ですが、それを実現するには自然信仰を保持したまま近代化を成し遂げた「日本の精神と伝統」が、重要な示唆を投げかけているのです。18日の講演では、その一つの事例として、食と農業のテーマを論じます。
■7.「大調和」の3つの柱
こうして見ると、理念に謳われた「大調和」の具体的な内容も窺うことができるでしょう。それは国内においては「大御宝の一つ屋根」、国際社会においては「万邦共栄」、そして自然に対しては「自然の大いなる命に生かされている」という「自然信仰」。これらが「大調和」の柱であると考えることができるでしょう。
そして、そのような「大調和」が世界に生まれれば、それは日本国民と日本の国全体への「国益」となります。国民の一致協力による国の繁栄、平和な国際社会、そして豊かな美しい自然の中での暮らし。参政党の理念・綱領からは、こういう崇高な理想が窺われるのです。より多くの国民が「主人公意識」を持って、この努力に参加していって貰いたいと思います。
18日の講演会では、ぜひ多くの方々と、こういうテーマについて、一緒に語り合ってみたいと考えています。ご参加をお待ちしています。
(文責 伊勢雅臣)
■おたより
■参政党の綱領は日本のいずれの政党も綱領にしておかしくない(卓さん)
参政党の綱領は日本のいずれの政治政党も綱領にしてもおかしくないものだと思います。参政党が綱領、信条、行動とも3拍子揃って活躍してくれることを期待しています。それだけでは他人任せになります。自らも、参政党を応援できるよう見守って参ります。
■伊勢雅臣より
参政党が刺激となって、他の各党も日本の国柄を根っことした綱領を考えるようになったら、素晴らしいですね。
読者からのご意見をお待ちします。本号の内容に関係なくとも結構です。本誌への返信、ise.masaomi@gmail.com へのメール、あるいは以下のブログのコメント欄に記入ください。
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■伊勢雅臣講演「神奈川から日本の希望のかたちを考える in 藤沢」
日時: 令和5年3月18日(土) 14:30~16:30(開場14:00)
場所: Fプレイス 藤沢市藤沢公民館 神奈川県藤沢市本町1丁目12-17
参加費:
一般の方/メルマガ会員/サポーター:2,000円
参政党党員(一般/運営)/18歳未満の方:1,500円
中学生以下:無料
チケット購入: https://isemasaomi.hp.peraichi.com/sansei
問い合わせ: 12sanseikana@gmail.com
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■リンク■
・JOG(1250) 大御宝による、大御宝のための国
日本は「大御宝のための国」として建国され、大御宝たちが力を合わせて護ってきた。
http://jog-memo.seesaa.net/article/202201article_3.html
■参考■(お勧め度、★★★★:必読~★:専門家向け)
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・参政党「理念・規約」
https://www.sanseito.jp/philosophy/
■伊勢雅臣より
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