No.1423 日本のホロコースト? 中国こそホロコースト大陸


 アメリカの歴史学者が書いた、日本が3千万人もの虐殺をしたと主張する「トンデモ本」が登場。

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■1.「日本が先の大戦中に3000万人も虐殺}?

伊勢: "Japan's Holocaust"、「日本のホロコースト」というタイトルで、日本が先の大戦中に3000万人もの虐殺を行ったという「トンデモ本」がアメリカで出版された。[Rigg]

花子: 3000万人?! それってどんな本なのですか?

伊勢: 内容は後で話すけど、第一章のタイトルを見るだけで雰囲気が分かるよ。
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Chapter 1: Japan's Emperor Cult, Intolerant Religions, Hirohito, Fascistic Ideology, and Racist Beliefs [Rigg,97]
(JOG訳: )
第1章:日本の天皇狂信、偏狭な宗教、ヒロヒト、ファシズム・イデオロギー、そして人種差別的信念
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花子: 章のタイトルからして、左翼の宣伝文書みたいですね。

伊勢: Amazonの読者評価を見ても90件の平均点2.6と低く、50%の読者が★1つの最低評価をつけている。英語のレビューには、こんな酷評が並んでいるよ。
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★1つ「著者に南京戦の常識を教えてやろう。この本自体が人種差別の犯罪だ」
★1つ「東京裁判は事実検証されてない根拠によって行われた」
★1つ「歴史家によって書かれたのかもしれないが、歴史書と言えるのか?」
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■2.アイリス・チャン『ザ・レイプ・オブ・南京』の二番煎じ?

花子: 一般読者にも「トンデモ本」だとバレバレなのですね。いったい、誰が書いた本ですか?

伊勢: 著者はブライアン・マーク・リッグという人で、エール大学卒、ケンブリッジ大学で博士号を取得、ユダヤ人のホロコースト関連の本で軍事史分野の賞を受賞している。また、アメリカ陸軍士官学校などで教鞭をとったこともある。

花子: 経歴だけ聞くと、まともな歴史学者のようですね。

伊勢: そこがこの本の唯一の特徴だ。かつては、アイリス・チャンという中国系米人が書いた『ザ・レイプ・オブ・南京』が50万部以上売れたけど、今度の本はその二番煎じではないかと思う。アイリス・チャンは歴史の専門家でもなく、日本語もできないので数人の素人の日本人ボランティアに助けて貰っただけで、学問的には惨憺たる本だった。

 たとえば、松井司令官の制止を無視して、捕虜処分命令を出したとされる長勇(ちょう・いさむ)中佐のことを、"Taisa Isamo"と表記している。南京攻略戦の時はまだ中佐だったのに大佐と誤記し、さらに「いさむ」を「Isamo」と読み間違え、極めつけは「Taisa」を姓だと思い込んでいる。こんなレベルの本が、とても歴史書とは言えないよね。
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JOG(60) 南京事件の影に潜む中国の外交戦術
 中国系米人の書いたベストセラー "The Rape of Nanking"は日米同盟への楔。
https://note.com/jog_jp/n/nea9c0f843c70
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花子: 今回の本の内容はどうなんでしょう?


■3.市民死者が終戦2年後の439万人から36年後に2千万人

伊勢: 国際ジャーナリストの山田敏弘氏は著者にインタビューしてこう書いている。
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「あまりに偏りがある書き方なので〈中国政府から資金援助や何らかの協力を受けているのではないか、との疑義が呈されると思う〉と指摘すると、リッグ氏は資料の整理を友人の中国人女性に手伝ってもらったこと、彼女の学友に南京市で公文書を扱う主任記録官がいたことを明かしました」
 もっとも、それ以外の援助や支援は強い口調で明確に否定したという。[新潮]
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 書きぶりが歴史家の学術書というより、第一章のタイトルを見ても分かるように、中国風のプロパガンダ本そのままなので、私は「友人の中国人女性」やその「学友」が書いた原稿に、リッグは名前を貸しただけなのでは、と邪推している。たとえば、3千万という数字については、こんな書きぶりだ。
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 広範な調査によると、日本は1927年から1945年まで、18年間にわたって『劣等民族』を絶滅させようと少なくとも3000万の恐ろしい大量虐殺を行った」[Rigg、p190]
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 この3千万のうち、中国が2千万人で、その他、インドネシア、ベトナム、ベンガル、フィリピン、朝鮮、沖縄からサイパン、グアムまでを合わせて、「合計2989万7751人」だと言うんだ。51人という細かな端数を出しながら、中国が2千万という膨大かつ極端な丸め数字で、いかにも中国風の「白髪三千丈」的表現だね。

 早速、日本では反論本が出ているけど、その一つ、茂木弘道氏の『反日レイシズムの狂気』では、この2千万については、こう指摘されている。
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 中国の国民党政権(蒋介石政権)は、終戦から2年後の1947年に、日中戦争による市民の死者は439万人と発表しています。それがどうして、その5倍近い2000万になるのか、摩訶不思議というしかありません。
たぶん、1949年に成立した共産党政権がその36年後の1985年になって発表した「軍民死者」2000万、そしてその10年後の1995年に発表した3500万という数字がそのもとになつているのでしょう。[茂木、p109]
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花子: 中国政府の数字は「豪快」そのものですね。


■4.蒋介石による黄河の堤防破壊で水死者100万人

伊勢: 蒋介石政権の「市民死者439万人」には、中国軍主力50~60万人が、日本軍約20万人の追撃をのがれるために、黄河の堤防を決壊するという非道な作戦を展開して、その犠牲となった水死者100万人が含まれているのだろうと、茂木氏は推測している。

花子: ちょっと待ってください。「中国軍主力50~60万人が、日本軍約20万人の追撃をのがれるために」というのは、数字が逆じゃないですか?

伊勢: 中国では町のチンピラや山賊の類いも飯さえ食わせれば兵隊としていくらでも集められるから、国や国民を守ろうなどと意思はなく、人数ばかり多くても、まったく弱いんだ。

 この黄河決壊は当初、蒋介石政権の御用通信社が「日本の空爆で黄河決壊」という偽情報を発信し、世界各国の世論も日本を非難したんだ。

 しかし、数日後には、フランスのベテラン記者に真相を見破られ、「中国軍による自作自演」だと報道された。なにしろ、現地では日本軍が堤防の修復作業とともに、住民の救助と伝染病予防の活動を行っていたんだからね。日本軍が救助した避難民は10万人近くに及ぶ。また、国民党政府の戦史や当事者の記録でも、真相が記録されている。

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 この蒋介石軍による「黄河決壊」作戦を、リッグはこう論じている。
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 1938年6月20日の運命の夜、蒋介石は承詔の近くで黄河をせき止める堤防の戦略的決壊を命じた。……少なくとも100万人が溺死またはそれに続く病気と飢餓によって命を落としたと推定されている。
莫大な人的損害にもかかわらず、この絶望的な措置は、日本軍が中国を更に征服するのを防ぐことに成功した。さらに、土肥原将軍指揮下の日本軍第14師団の大部分が激流の波におぼれ、兵士のほとんどが溺死するなど、日本軍部隊に深刻な打撃を与えた」[Rigg、p185。茂木、p114より再引]
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■5.「たった2発の原爆で済んだ」日本国民の幸運

伊勢: 日本軍の仕業とせず、蒋介石の「戦略的決壊」と事実を書いているのは、共産党の敵である蒋介石軍も悪者として記述したいからだろうね。

花子: でも、自国民を100万人も殺しておいて、「日本軍が中国を更に征服するのを防ぐことに成功した」というような言い方は、ひどいですよね。日本人の感覚では信じられません。

伊勢: そのあたりの記述ぶりは、いかにも中国風プロパガンダそのものだね。良識あるアメリカ人なら、しかも歴史家だったら、とてもこんな風に豪快には書けないよ。こういう中国風の書きっぷりは、広島長崎への原爆攻撃にも現れている。
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日本国民にとって幸運だったのは、たった2発の原爆で済んだことだ。[リッグ、p279、茂木、p175より再引]
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花子: もっと原爆を落とされても仕方がなかった、と言うんですか!

伊勢: こういう書きぶり自体が、日本を心底憎んでいる中国人が書いたとしか思えないね。

 ちなみに、日中戦争に詳しい茂木氏は、上記の「日本軍第14師団の大部分が激流の波におぼれ、兵士のほとんどが溺死するなど、日本軍部隊に深刻な打撃を与えた」という一節に、史実で反論している。
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14師団は中牟で筏船百数十艘を出して、住民救助に当たりましたが、兵士の死者はほとんどありませんでした。このように全く信用できないウソを平気で書いているのがリッグのこの本です。
 さらに言いますと、日本軍はこの作戦のために、・・・結局は華東に迂回して中支派遣軍を編成し、数か月後には武漢攻略に成功しています。ですから、この決壊作戦は住民に大被害を与えただけのものとなったというのが真相です。[茂木、p115]
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■6.人民の生命や生活をまったく無視した堤防決壊が何度も

伊勢: 黄河の堤防を決壊させて、同じ中国人同胞を100万人も水死させた、というのは、この作戦だけではない。台湾出身の歴史家・黄文雄氏は、こう述べている。

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 中国の戦史では水攻めはしばしば見られることだ。黄河流域だけでも二十回以上あった。・・・日中戦争の八年間だけでも、失敗例も含め十二回の決壊作戦が記録されている(畢春富著『抗戦江河堀口秘史』明文書局など)。これらは人民の生命や生活をまったく無視した愚かな戦術であり、中国の軍隊の本質を物語るものだ。[黄、p217]
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花子: 「中国の軍隊の本質」ってどういう事ですか?

伊勢: それを説明する前に、近代中国の戦乱ぶりを見ておこう。黄氏の本では、中国の内戦がこれでもか、というほど、延々と述べられている。そのさわりだけ見ると:
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 中国の十九世紀は討伐、裏切り、掠奪に満ち満ちた内乱と虐殺の世紀だったといえる。後述する太平天国の乱(一八五〇~六四年)もあれば、数省にわたる捻軍(白蓮教系の武装ゲリラ)の乱や、天地会(反清復明・滅満興漢を謳う秘密結社)の乱もある。宗教と少数民族が結合した回乱(イスラム教徒の反乱)や、ミャオ族、トン族の乱もある。
反乱軍が正規軍を駆逐して小王国が樹立され、一地方を支配したこともあれば、流れ流れて数省を荒らしまわった流賊の反乱もあつた。[黄、p48]

 一八五〇年六月から六四年八月にかけての十四年間、南中国を動転させた太平天国の乱は、文句なしに世界史上最大規模の内戦である。・・・主要都市も、上海を除くほとんどが戦乱に見舞われた。
 死亡者数は推定で五千万人にのぼるとも、全人口の五分の一ともいわれる。[黄、p50]
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■7.中国の軍隊は権力者の私兵

伊勢: その上で、黄氏は中国の軍隊の本質をこう述べる。
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 そもそも清の軍隊は、国軍というより朝廷(皇帝一家)や実力者の私兵である。彼らの敵は外国から中国に侵入する勢力ではなかった。何よりも自国民衆の武装蜂起を恐れていたのである。この中国軍隊の性格は一九八九年の六・四天安門事件でもわかるように、基本的には今も変わらない。[黄、p64]
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伊勢: 中国の軍隊は、独裁者が自分を守る為の軍隊なので、反乱とは徹底的に戦うけど、住民を守ろうという意識などないんだ。

 今の人民解放軍も国家の軍隊ではなく、中国共産党の「私兵」に過ぎない。だから、共産党政権に叛旗を翻(ひるがえ)したら、ただちに弾圧される。天安門事件が良い例だね。
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JOG(162) 天安門の地獄絵
 天安門広場に集まって自由と民主化を要求する100万の群衆に人民解放軍が襲いかかった。
https://note.com/jog_jp/n/n4ac26f4192bb
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伊勢: こうして見ると、日本人は中国の実際の歴史については、ほとんど何も知らずに、日本軍が大陸に出て行って、残虐なことをしたと思い込まされている。しかし、実際にはそこはもともとホロコースト大陸だったんだ。

 現在の共産党政権でも、大躍進政策での餓死者2千万人、文化大革命での虐待の死亡者40万人と推定されている。
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JOG(109) 中国の失われた20年(上) ~ 2千万人餓死への「大躍進」
 1958年から1960年に、中国共産党が強要した政策のために約2千~3千万の人々が栄養失調と飢餓で命を失った。
https://note.com/jog_jp/n/n30c9be2b7db5

JOG(110) 中国の失われた20年(下) ~ 憎悪と破壊の「文化大革命」
 毛沢東が保身のために引き起こした「文化大革命」で、虐殺された者40万人、被害を受けた者は家族を含め1億人。
https://note.com/jog_jp/n/n233be3692dbc
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伊勢: 私が恐れているのは、今後、中国共産党政権が分裂、または崩壊した際に、19世紀後半のような内乱が大陸を覆い、もとのホロコースト大陸が再び現れることだ。その際には、ホロコーストの一環として、通州事件のような邦人虐殺も起こる恐れがある。日本人は、我が国のすぐ隣の大陸のそういう恐ろしい実像をよく知っておく必要がある。
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JOG(1031) 日中戦争に引きずり込まれた日本
 日本はどのように、日中戦争に引きずりこまれていったのか?
https://note.com/jog_jp/n/nb2122d62345d
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(文責 伊勢雅臣)


■リンク■

・テーマ・マガジン「南京大虐殺」の真相
「南京大虐殺」は誰がどのように創作したのか、当時の日本軍はどのように行動したのか、真相が明らかになっています。
https://note.com/jog_jp/m/m5b65def08879


■参考■(お勧め度、★★★★:必読~★:専門家向け)
  →アドレスをクリックすると、本の紹介画面に飛びます。

・Rigg, Bryan Mark"Japan's Holocaust: History of Imperial Japan's Mass Murder and Rape During World War II"★、Knox Press、2024
http://www.amazon.co.jp/o/ASIN/B0D4JCPD8C/japanontheg01-22/

・黄文雄『「日中戦争」では侵略ではなかった』★★、ワック、H17
http://www.amazon.co.jp/o/ASIN/4898315380/japanontheg01-22/

・デイリー新潮「元米軍人が出版した『昭和天皇ヘイト本』『旧日本軍が3000万人を虐殺』の記述に専門家は『根拠がなく、引用元もずさん』」
https://www.dailyshincho.jp/article/2024/05080556/?all=1


■伊勢雅臣より

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■編集後記

 蛍の季節となり、昨晩は近くの渓流で、蛍が見られる場所に行ってきました。十匹ほど、かすかな光を出しながら、飛んでいました。蛍というと、「特攻の母」と呼ばれた鳥浜トメさんの4月の通夜に、一匹の蛍が現れて、特攻兵が母と慕ったトメさんを迎えに来たのでは、と周囲の人々が思ったエピソードを思い出します。

 また、小林秀雄も亡き母が蛍になって帰ってきた、という一文を書いています。

 亡き人の魂は蛍になって帰ってくる、というのが、日本人の死生観の一つでした。

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