JOG(1446) なぜ、日本だけスパイ防止法がないのか?
テロ、拉致、偽情報、、、国民の安全安心を守るためには、目を閉じ耳を覆っていることは許されない。
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■1.スパイ防止法がなければ大規模テロ事件も防げない
花子: 伊勢先生、最近ニュースでスパイ防止法のことをよく聞くんですけど、どういうことなんですか?
伊勢: ああ、高市政権でスパイ防止法制定の機運が急速に高まっているんだ。実は日本には、外国のスパイや工作員を取り締まる法律がまだ十分に整っていないんだよ。外国にはどこの国にも当然あるんだけどね。
花子: そうなんですか。でも、どうして今そんなに必要だと言われているんですか?
伊勢: 過去に起きた事件を振り返ってみよう。平成19(2007)年から翌年にかけて中国の食品会社が製造した冷凍餃子に混入された「農薬」によって重症者を含む十人の中毒が発生した、いわゆる「毒餃子」事件は、知っているかな?
花子: ああ、聞いたことがあります! 餃子を食べて具合が悪くなった人がいたんですよね?
伊勢: そうだ。医学的に確定した被害者は10名で、健康被害を訴えた人が、全国で約5,800名もいたらしい。
実はこの事件、ただの食品事故では済まされない深刻さがあった。問題となった冷凍餃子に含まれていた「農薬」はメタミドホスといって、LD50(半数致死量)、つまり摂取したら半数の人間が死ぬ量が体重1キロあたりわずか13ミリグラム。この量が五〇ミリグラム以下のものは「高毒性化学兵器」として扱うことが定められている。つまり、化学兵器レベルの毒物だったんだ。
花子: え! そんなに危険なものだったんですか!?
伊勢: そうなんだ。山口芳裕・杏林大学医学部教授は、こう語っている。
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ですから中国冷凍餃子事件が発生した時、私はすぐに、1)化学テロとして扱うべきこと、2)すべてのメディアを通じて一斉に、中国の冷凍餃子の購買、摂取を止めるように広報することを申し入れました。
しかし、政府がそういう対応をとることはなく、それどころか中国人容疑者が中国の警察当局に逮捕された当時の総理であった鳩山由紀夫氏、外務大臣の岡田克也氏はなんと中国に感謝のメッセージを出したのでした。
この事件はテロとしての初期対応を誤れば、もっともっと多くの人が死んでいてもおかしくない事案でした。こうした情報やその重大さをきちっと官邸にあげられる人がいなければ、今後も同じことが繰り返されることでしょう。[高市、p165]
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たった一人の犯罪者がこの事件を起こしたという中国側の言い分が事実だったとしても、敵性国家が日本社会を混乱させようとしたら、同様の事件を、もっと巧妙に大規模に実施できる危険性が十二分にあるということだね。
だから、この事件も、一歩間違えれば、あの地下鉄サリン事件のように5千人以上の人が被害を受ける恐れがあった。平成7(1995)年3月20日、営団地下鉄(現在の東京メトロ)千代田線、日比谷線、丸ノ内線の計5本の電車内でオウム真理教の信者たちが猛毒のサリンを撒き散らした事件だ。死亡者は12名、約5,500名が治療を受けるなどの大きな被害を受けた。
また、北朝鮮の拉致事件でも、元北朝鮮工作員が「日本への浸透作戦はピクニックに行くようなものだ」と証言している[産経]。彼らは「ピクニックに行く」気軽さで、覚醒剤を持ち込み、諜報活動を行い、日本人を拉致し、核ミサイル開発のためのハイテク機器を盗んでいく。
こういうテロや拉致から国民を守るためにも、スパイ防止法が必要なんだ。危険な情報や活動を事前に察知し、阻止できる体制が不可欠なんだよ。
■2.偽情報工作
伊勢: それから、偽情報を流すという工作もある。たとえば、ウクライナ戦争が始まる直前、ロシア軍の報道官は「われわれはウクライナ国境からももう手を引いている。だからウクライナに侵攻するつもりはない」と主張し続けた。
実際に我が国でも多くの国際政治評論家が「まさかいきなり侵攻はないだろう」と予測していた。同様にウクライナやNATO諸国の警戒態勢が緩んだら、ロシアの思うつぼだったろう。
花子: ロシアの嘘を見抜いた国はあったんですか?
伊勢: アメリカは保有する衛星情報をそのままワシントン・ポスト紙に渡し、ロシア軍が国境に集結している様子を捉えた衛星写真を報道させた。イギリス国防省は、ロシアが侵攻するわずか4日前の2022年2月18日に、公式アカウント(Twitter/現X)で「ロシアが撤退している証拠は何もない、おそらくロシアはウクライナに侵攻してくるだろう」という情報を流したんだ。
花子: アメリカとイギリスは偽情報に騙されずにいたんですね。
伊勢: そうだ。米英がいかに正確な事実を掴んでいるか、その実力のほどがよく分かった事案だよ。
花子: 日本でも偽情報の問題はあるんですか?
伊勢: ああ、福島原発の処理水放出がいい例だ。処理水放出後の最初の一週間は中国の宣伝部門が中心となって徹底的に日本批判を行った。清華大学の教授などがいい加減な資料を使って偽情報を流した。すると一般大衆に火が付いて、様々な動画や偽画像が流れた。たとえば海に汚水が流れている動画があったけど、これはメキシコでの事故のものだと言われている。
花子: ひどいですね! 日本はどう対応したんですか?
伊勢: 日本にとってはSNSを使った初めての偽情報戦だったけど、外務省の国際原子力協力室が頑張った。Xで公式に反論し続けたんだ。偽情報には偽情報だと指摘し続けた結果、約1カ月ほどで福島に関わる偽情報はほぼ鎮火したようだ。[高市、p143]
でも、「南京大虐殺」、「従軍」慰安婦問題、徴用工問題なども、オールドメディアを使った偽情報工作の一環だと言えるね。
花子: そうだったんですか...。情報工作って本当に怖いですね。
■3.自衛隊、公安調査庁、外事警察、外務省などがばらばらに情報収集
花子: でも、日本政府が情報収集をまったくやっていないわけではないでしょう?
伊勢: もちろんやっているけど、大きな問題がある。いくつかの機関がバラバラに活動していて、日本政府として集めた情報を総合して、問題状況を分析するというシステムがないことだ。それを象徴するのが、外国人による土地購入問題だ。これは現在の日本の抱える大きな問題の一つで、当然、詳細な情報収集が不可欠な問題だね。
だけど、外資の買収面積が把握、公表されているのは、森林と農地だけ。それ以外の土地買収は把握もされていない。森林で買収された面積だけで、平成6(1994)年からの15年間の累計で8465ヘクタールとされている。これは東京ドーム1800個分だよ。これは氷山の一角に過ぎない。
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JOG(1323) 見えざる国土侵略 ~ 太陽光発電の罠
日本国民は「再エネ促進賦課金」2万2千円/人・年を払い、国土を中国企業に進呈し、自然を破壊し、安全保障を難しくしている。
https://note.com/jog_jp/n/n840ead1a83cd
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花子: そんなに国土が外国人に買われているのですか?
伊勢: そうなんだ。たとえば自衛隊や在日米軍の基地の近くの土地を買収されたら、防衛能力や活動実態が把握されて外国からの攻撃やテロ攻撃が容易になる。また水源地を買われたら、そこから有毒物質を流される危険もある。
花子: それは怖いですね...。日本政府は対策をしているんですか?
伊勢: ここで問題になるのが、さっき言った情報統合のシステムがないことだ。安全保障上重要な土地に関する情報は、自衛隊、公安調査庁、外事警察、外務省などがばらばらに集めている。
実は在日米軍の中にもこの安全保障上重要な土地問題について担当する部署があるけど、この米軍の担当者に自衛隊、公安調査庁、外事警察、外務省がバラバラに情報を聞きに行っている。米軍の関係者は「同じ説明を何度したらいいのか。いい加減にしろ」と言っているそうだよ。
花子: それは非効率ですね...。アメリカなんかはどうしているんですか?
伊勢: アメリカは国家諜報長官室(ODNI)が政府全体の統括をしているけど、日本にはそれにあたる情報統括機関がない[高市、p119] だからスパイ防止法では、国家として中央情報機関の設立も掲げられている。国を守るためには、情報を一元的に管理し、効率的に活用できる体制が不可欠だかなね。
■4.「司法通信傍受」
伊勢: 日本の情報収集能力を制約しているもう一つの大きな問題が、「行政通信傍受」が禁止されていることなんだ。通信傍受のうち、「司法通信傍受」は、すでに法律で厳格に許可された範囲内で、組織犯罪捜査の分野で実施されている。平成11(1999)年に成立した「犯罪捜査のための通信傍受に関する法律」、略称、通信傍受法によって、認められた。
花子: それはどのように使われているんですか?
伊勢: 組織犯罪に関わっている人々の電話やメール、FAXなどの傍受だね。法務省の発表では、令和4(2022)年に24事件が対象になり、106人の逮捕につながった。覚醒剤取締法違反13件94人が中心だね。
花子: それだけの犯罪者たちが逮捕できて、国民の被害が食い止められたわけですね。「行政通信傍受」というのは何が違うんですか?
伊勢: 国内の工作活動やスパイ活動が疑われる外国人を中心に、傍受しようというのが、「行政通信傍受」なんだ。
花子: でも、それって私たち一般の日本人の通信も盗み見られるんじゃないですか? プライバシーが、、、
伊勢: それは大きな誤解なんだよ。そうではなくて、基本的には国内の外国人の通信を傍受するものだ。行政通信傍受を行っているアメリカでも、国内での自国民に対する行政傍受は禁止されている。傍受の対象は国内にいる外国人で、それも日本に悪意がある人や敵性国家の政府関係者などだ。
■5.日本国内の外国人を対象にした通信傍受
花子: でも、もしそういう人に唆されて、日本人がスパイになったらどうするんですか?
伊勢: もし自国民がなんらかのスパイ活動に関与しているのであれば裁判所の許可を取って、情報漏洩、スパイの疑いがあるので通信傍受を願い出る。要は他国にはスパイ防止法という法律があり、その法を破っている犯罪者だから傍受対象にするということだね。
花子: なるほど。でも、日本は現在はどうやって捜査しているんですか?
伊勢: いまだに張り込みで捜査、情報収集を行っているのは我が国くらい。他の先進国は法に基づいて行政通信傍受を行っている。
花子: えっ、張り込みって、刑事ドラマみたいなやつですか?
伊勢: そうだよ。先進国で日本だけが行政通信傍受ができないから、捜査のために膨大な人員を割かないといけない。非効率極まりないんだ。
あと、行政傍受ができなければ、いわゆるファイブ・アイズと呼ばれるアメリカやイギリスを中心とした情報同盟に入っていけないという問題もある。
花子: ファイブ・アイズって何ですか?
伊勢: アメリカ、イギリス、カナダ、オーストラリア、ニュージーランドの5カ国による機密情報共有の枠組みだよ。さっき米英がロシアの偽情報を見破ったという話をしたけど、彼らの情報収集能力は非常に高い。この同盟に入れば、これらの国が掴んだ重要な機密情報が得られるという大きなメリットが得られる。これらの国々では、通信傍受などが情報収集の中心になっている。
花子: つまり、行政通信傍受ができないと、情報収集も足を使った非効率なやり方だし、国際的な情報共有にも参加できないんですね。
伊勢: その通り。日本の安全保障を考えるなら、スパイ防止法とともに行政通信傍受の導入も必要不可欠なんだよ。
■6.「スパイ防止法」の制定への動きが加速
花子: でも先生、そんなに大事なスパイ防止法が、なぜ今まで作られなかったんですか?
伊勢: それは良い質問だね。実は長い間、政治的なタブーのようになっていたんだ。でも、ついに大きな転機が訪れた。高市早苗内閣の発足により、「スパイ防止法」の制定に向けた動きが、政治の主要なテーマとして急速に浮上し、加速しているんだ。
首相に選ばれる前の自民党総裁選において、高市さんは公約にスパイ防止法の早期制定を掲げていた。自民党と日本維新の会が結んだ連立合意書にも「スパイ防止法制の検討開始」が盛り込まれた。つまり、与党として正式に取り組むことになったんだよ。
他の野党も動いている。国民民主党はこの9月にはスパイ防止法の原案を公表している。参政党も、経済安全保障などの観点から、日本版スパイ防止法などの制定を政策として掲げている。これら自民、維新、国民、参政を合わせれば、国会の過半数で法律として成立させることができる。これは戦後日本の安全保障政策において、歴史的な転換点になるね。
反対する野党ももちろんあるけど、国際情勢が厳しくなる中で、多くの国民が日本のスパイ防止法制の必要性を理解し始めているんだ。中国や北朝鮮の脅威、ロシアのウクライナ侵攻など、世界の現実を見れば、「平和ボケ」のまま、外国の工作員やテロリストたちが「ピクニック」気分で活動するのに、目を閉じて耳を塞いでいられる時代ではないということだね。
花子: 私たち国民が安心安全に暮らせる国づくりには、こうした体制づくりが不可欠なんですね。私もこの問題についてもっと勉強したいです!
伊勢: その意欲は素晴らしいね、花子ちゃん。君たちのような若い世代が関心を持つことが、日本の未来を守ることにつながるんだよ。
(文責 伊勢雅臣)
■参考■(お勧め度、★★★★:必読~★:専門家向け)
→アドレスをクリックすると、本の紹介画面に飛びます。
・産経新聞、1999.03.25、東京朝刊、2頁
・高市早苗『国力研究 日本列島を、強く豊かに。』★★★、産経新聞出版、H0630
http://www.amazon.co.jp/o/ASIN/4819114417/japanontheg01-22/
■JOG(1443) 「犬養毅(つよし) ~ 対話に生き対話に死んだ政治家」へのおたより
■命がけで政治を行った政治家を尊敬する(賢介さん)
犬養毅首相は私の大好きな政治家です。
犬養首相と対極ですが、私は濱口雄幸首相も好きです。
濱口首相と井上準之助蔵相も好きです。
後から評価することは何とでも評価できますが、命がけで政治を行ったことが犬養毅首相、濱口雄幸首相、井上準之助蔵相を私が尊敬する理由です。
■伊勢雅臣より
命懸けで仕事をした志のある政治家として、濱口雄幸、井上準之助もいずれとりあげたいと思います
読者からのご意見・ご感想・ご質問をお待ちします。本号の内容に関係なくとも結構です。本誌への返信、ise.masaomi@gmail.com へのメール、あるいはブログのコメント欄に記入ください。
■編集後記
先週は、幼稚園、保育園などで、漢字教育を推進している石井方式の実践園を訪問し、幼稚園経営者など200人ほどの方々に、子供の国語教育に関する講演をさせていただきました。
3~6歳の幼児は、漢字をどんどん覚えてしまう時期で、この時に、絵本や古典の文章を漢字仮名交じり文で、みなで一斉に心を込めて朗読している姿に、感銘を受けました。
自由にのびのびと本来の能力を引き出している幼児たちが、元気に嬉しそうに声を合わせて朗読している様に、「こういう子供たちは仕合わせだな。こういう元気な子供たちが増えれば、日本の未来も安心だな」と感じました。
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